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ここは技術ページ1(パネル製作技法)です。


田代一郎のステンドグラスパネル製作技法

私は作品の90%以上をコパーフォイル技法を用いて製作します。理由としては:

  1. コパーフォイル技法の手書き風のラインが好き。
  2. コパーフォイル技法を用いると小さなピースも使えるので細かいデザインを製作する事が可能。
  3. 日本ではステンドグラスを直接外気に曝す状態で使用する事が少ない。通常はステンドグラスの外側、すなわち外気に触れる側、に透明な強化ガラスを用います。透明な強化ガラスを併用する理由は主に防犯対策および防火対策です。外気に触れないのでステンドグラスも良好な状態に保て、外気に直接触れる状態で据え付けられたケーム式ステンドグラスの様に15年から30年に一回組み直す必要は無くなります。コパーフォイル技法を用いると組み直しではなく再製作となりますが、外気と触れない為にその心配は無くなりました。
  4. 大きなパネルも作れる様になった。ステンドグラス・パネル内部で十分に補強する事が可能となり以前の様にステンドグラスの外側に大げさな補強材を取り付ける必要が無くなりました。パネルから飛び出した補強材が無いのでステンドグラスを両側から鑑賞する事が出来ます。昼間は天然の太陽光を使って窓の内部からステンドグラスを見て、夜になると内部の照明光を使って外側から見ることが可能となりました。私が コパーフォイル技法を使って作った最大のステンドグラスは2 m x 8 m (6 ft x 24 ft) の寸法で18 のパネルで構成されています。コパーフォイル技法を使って作った単独で一番大きなパネルは 80 cm x 160 cm (2.6 ft x 5.3 ft) の寸法のパネルです。かなり補強しましたが補強材は外部に出ていませんので両側から見る事ができます。
  5. 最後の理由で、たぶん最大の理由でしょうが、私はケームを扱うのが超へたです((汗;)。

ステンドグラス・パネルの製作方法

  1. 最初に適当なスケールでデザインを作ります。 (写真はブラウザーでもう一つ窓を開けて見ると便利です。(Photo-1)
  2. 必要に応じてクライアント又は建築士からデザインの承認を得て下さい。私は大きな作品の場合は実際のステンドグラスを使ってサンプルを製作する事が多いです。コパーフォイルの場合はワックス・アップでガラスの効果を見る事が出来ないのでサンプルは威力を発揮します。
  3. 窓にはめる真鍮枠およびステンドグラス自身の寸法を計算します。各パネルの原寸サイズのデザインを製作します。 (Photo-2
  4. )私はコパーフォイル技法を用いる場合は 5 mm 厚のパルサ材を表面に貼った合板の上でパネルを製作します。 (Photo-3) パルサを用いる理由は虫ピンが刺さり易くガラス片を確実に固定できるからです。ピンを使う場合にバルサより良い材料を知りません。
  5. 厚紙(ケント紙)に描いたパターン(デザイン)をコピーしてバルサの上にピンで固定してください。私は1/1000単位で調整できるコピー機を持っているので簡単に原紙と全く同じ寸法のコピーを撮る事ができますが古いタイプのコピー機では正確に100%のコピーが撮れなかったので(オリジナルよりほんの少し大きくなる)特別なテクニックが必要でした。もし、貴方のコピー機で正確に100%のコピーが撮れない場合は撮れる店を見つけて100%正確なコピーを撮って下さい。ステンドグラス・パネルの寸法が大きくて一度でコピーが撮れない時は分割してコピーして貼り合わせて下さい。正しくコピーが撮れたら原紙からパターンを切り離して下さい。コピーを撮る前に切り離すとえらい事になります。私は何度もやった事があります(汗;)。(Photo-4)
  6. 紙パターンに合わせてガラスを切りコパーフォイルを巻いて、コピーしたデザインに上にピンで正確に固定してください。必要に応じて補強材、Venture 補強テープおよび銅線など、で補強してください。 (Photo-5)
  7. パネルの上面(前面)を仮ハンダ付けしてください。すなわち、ガラスの間にハンダを流し込んで下さい、まだ、ハンダ線の盛り上げは必要ありません。 (Photo-6) 片面のみが仮ハンダ付けされたパネルは非常に弱い状態ですが、反対側をハンダ付けする為にパネルを反転させる必要があります。また、この状態のパネルはハンダ付けの熱でパルサの表面に焼き付いている可能性が高く薄いプラスチックのシート(1mm 厚)をガラスとバルサの間に差し込んで分離してください。
  8. 古いカーペット等を切って作った厚手の布をハンダ付けされたパネルの上に置いて下さい。 (Photo-7)  
  9. その上にもう一枚の合板を置いて下さい。 (Photo-8) 全てを一緒に、すなわちバルサ付き合板、コピー紙、ハンダ付けされたステンドグラス、厚手の布、および合板、反転してください。パネルが大きい時は全てを紐で縛って反転する時に助手を頼んで下さい。ひっくり返したらバルサ付きの合板(今は一番上にある)を取り除いて下さい。 (Photo-9)
  10. コピー紙を剥がして (Photo-10) 裏側(今上を向いている側)をハンダ付けしてください。ハンダ線の盛り上げも行って裏側を完全に仕上げて下さい。 (Photo-11)
  11. この状態でもパネルは非常に弱いので上記と同じ方法で布と合板を重ねて再度反転させて下さい。 (Photo-12)
  12. 表面のハンダ線も盛り上げて仕上げて下さい。 (Photo-13)
  13. ステンドグラス・パネルの真鍮枠と全く同じ寸法の合板を用意してください。合板は正確に真鍮枠と同じ寸法に切って下さい。この合板をパネルに被せて上記と同じ方法で反転させて下さい。 (Photo-14)
  14. 真鍮枠の材料を正確に切って補強用の穴をドリルで開けて下さい。真鍮枠を合板の上に乗せガラスを中に入れて合板にクランプで固定してください。合板の外端に真鍮枠の外端を正確に合わせて下さい。 (Photo-15) 写真で補強の為の銅線および真鍮枠に開けられたドリル穴を見ることができます。 (Photo-16) 補強の銅線が真鍮枠の穴に入っている事を確認してください。 (Photo-17)
  15. 真鍮枠および補強の銅線をハンダ付けしてください。 (Photo-18)  ここが良くわからないとの抗議のメールが沢山来ましたので、追加写真を使って説明します:合板をフレームの寸法にあわせて正確に切断してください。フレーム材料(私は真鍮の引き抜き材を使います、断面がH形状のものです)も正確に切断して下さい(詳細は技術4を参照) (Photo-001) 鉛線に埋め込めた銅線が付いたステンドグラスパネルを裏面を上にして合板の中央に正確に置いて下さい。(Photo-002) ドリルで穴を開ける為に各銅線の位置をマーキングして下さい。(Photo-003) 全ての位置をマーキングします。 (Photo-004) ドリルで穴を開け半田付けする箇所をサンドペーパーで表面を処理して下さい。 (Photo-005) クランプを使ってフレーム材を正確に合板の上に設置して下さい(もし、フレーム材に表裏がある場合は裏を上にして下さい)。(Photo-006) 小型のクランプ (Photo-007) を使い、適当な寸法の真鍮角パイプを切って(Photo-008) 半田付けする前の各コーナーを補強して下さい。(Photo-009)  銅線がドリルで開けた穴から出ているのが見えます (Photo-010) 、これをフレーム材に半田付けして下さい。(Photo-011)  各コーナーを半田付けして下さい。 (Photo-012) 裏面の鉛線を真鍮のフレーム材に半田付けして下さい、この行程は鉛線と真鍮材の熱伝導率が極端に違うので簡単ではありませんが、慣れれば出来る様になります。 (Photo-013)  最後に余分な銅線を切って半田が盛り上がっていればヤスリで斜めに落として下さい。 (Photo-014) このシステムの全体図の断面図です。 (panelfix.jpg)
  16. この状態になればステンドグラス・パネルを単独で取り出す事ができます。両手で取り出して下さい。ただし、パネルが大きい場合はパネルを持つ位置に注意してください。
  17. ハンダ・ペーストを溶剤およびたわしを使って洗い流して下さい(私はシンナーを使います)。(シンナーを使うと早く奇麗になるのですが、東京のスタジオでは匂いの為、現在使っていません。)(Photo-19)  洗剤とクレンジング・パウダーを使ってパネルをきれいに洗って下さい。 (Photo-20) この工程が美しい仕上がりの為に最も重要です。
  18. 必要に応じて硫酸銅を使って黒染めしてください。私は硫酸銅の飽和水を4リットル瓶で常時用意しておいて、染める時に約5倍に薄めて使っています。(飽和水は瓶に水をいれ、少しずつ硫酸銅の粉を入れながら良くかき混ぜ底に硫酸銅の粉が残っている状態になれば OK です。)濃度が高いと早く反応しますが銅色になりやすく、低いと時間はかかりますがより黒くなります。この工程はトライ&エラーです、色々試して下さい。(Photo-21)
  19. 鉛線が均等に染まった事を確認してください。 (Photo-22) 写真の左側が染め付けたパネル、右側が染め付け無しのパネルです。 (Photo-23)
  20. 流水で余分な硫酸度の溶液を取り除いて下さい。私は中性洗剤と水を入れた容器の中で最低3日はパネルを漬けておき硫酸銅を完全に取り除きパウダー(白色化)の発生を防止します。 (Photo-24)
  21. 最後に窓にパネルを取り付けて下さい。 (Photo-25)

ご意見、ご質問などがありましたら、遠慮なく下記へメールをお送り下さい。

itashiro@tcp-ip.or.jp


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